2026年9月24日(木)、一般社団法人 日本AIイノベーションセンター(JAIC)は、第2回無料AIセミナー「今さら聞けないAI講座」を開催しました。
今回のテーマは、「その仕事、AIに任せられるかもしれません。」
第1回では、「AIを難しく考えず、まず使ってみる」ことを中心にお伝えしました。第2回ではそこから一歩進み、AIを自分の仕事にどう組み込み、どこまで任せられるのかを、実演を交えながら考える内容としました。
会場参加とWebライブ配信を組み合わせたハイブリッド形式で開催し、AIをこれから仕事に取り入れたい方から、すでに日常業務で活用している方まで、幅広い皆さまにご参加いただきました。
ご参加いただいた皆さまに、心より御礼申し上げます。
今回のゴールは「明日試す仕事を一つ決める」
今回のセミナーでは、単にAIの機能を知ることではなく、自分の仕事に置き換えて考えることを大切にしました。
講座のゴールとして掲げたのは、次の3つです。
・AIに任せられる仕事を、実演で知る
・必要な情報と条件を、言葉にして渡す
・自分の仕事から、明日試す一つを決める
「AIでこんなことができます」で終わるのではなく、参加者の皆さま自身に「では、自分の仕事なら何を任せられるだろう」と考えていただくことを目指しました。
講師は佐藤広大氏。実際の仕事を題材にAI活用を実演
講師を務めたのは、中小企業AI活用協会エキスパートリーダーであり、名古屋モード学園講師でもある佐藤広大氏です。
今回の講座では、説明だけでなく、実際の仕事に近い場面を想定したデモを数多く行いました。
最初に取り上げたのは、「AIに質問する」ことと「AIに仕事を任せる」ことの違いです。
何かを調べるだけなら、知りたいことを伝えれば始められます。一方で、画像作成や資料作成などの作業を頼む場合には、材料や完成形を伝える必要があります。
さらに、複数の工程を含む仕事を任せる場合には、ゴールや条件、人が確認する場所まで整理しておく必要があります。
AIを使いこなすというと、難しいプロンプトを書くことを想像しがちです。
しかし実際には、**「何をしてほしいのか」「何を使ってよいのか」「どこは人が判断するのか」**を整理することが、仕事でAIを使う第一歩になります。
Gmailから「次にやる仕事」を見つける
実演の一つでは、Gmailの内容から、返信が必要なもの、資料作成が必要なもの、確認待ちになっているものなどを整理しました。
メールを要約するだけではなく、そこから**「次に進めるべき仕事」を見つける**ところまでAIを活用する例です。
AIに整理を任せ、人が優先順位を確認し、進める仕事を決める。そして必要に応じて、返信案や資料作成へつなげる。
こうした使い方を見ることで、「AIは文章を作る道具」というイメージから、仕事を前に進めるためのパートナーへと、捉え方が広がったのではないでしょうか。
「画像を1枚作る」から「一連の仕事を任せる」へ
別の実演では、商品画像を1枚作成するところから、複数商品の処理、ファイル名の整理、登録データの準備、テスト登録までを一連の仕事として考えました。
AI活用というと、文章作成や画像生成など、一つの作業だけに目が向きがちです。
しかし、実際の仕事にはその前後にも多くの工程があります。
業務を工程ごとに分けて見ていくと、
「ここまではAIに任せられる」
「ここは人が確認した方がよい」
「この判断は人が持つべき」
という役割分担が見えてきます。
AIに何でも任せるのではなく、AIと人の仕事をどう分けるかを考えることが、実務での活用には欠かせません。
AIへの頼み方で、結果は変わる
「AIにお願いしたけれど、思った答えが返ってこなかった」
そんな経験をしたことがある方も少なくないと思います。
講座では、無料版のAIを使い、「体験会の案内文を作って」とだけ頼んだ場合と、対象、目的、材料、条件などを加えて依頼した場合を比較しました。
AIは、私たちの頭の中や職場の事情を最初から知っているわけではありません。
目的は何か。
誰に伝えるのか。
どの資料を使うのか。
守るべき条件は何か。
どんな形で完成させたいのか。
こうした前提を伝えることで、一般的な回答から、実際の仕事に使える下書きへと近づいていきます。
大切なのは、最初から完璧な指示を書くことではありません。
不足していることをAIに質問させたり、やり取りをしながら修正したりすることも、実務では有効な使い方です。
音声を使えば、まとまっていない考えも仕事の材料になる
今回は、音声を使ったAI活用も紹介しました。
講座では、音声の使い方を「音声入力」「音声相談」「音声記録」の3つに分けて説明しました。
たとえば、文章にしようとすると手が止まってしまう企画でも、まず声に出して話してみると、考えていたことが次々と言葉になることがあります。
その内容をAIに整理させれば、企画のたたき台やメール、資料の材料として活用できます。
実演では、スマートフォンでAIと会話しながら企画を具体化し、そこで整理した内容を次の仕事へつなげました。
「AIを使う=キーボードで長い文章を入力する」というイメージを持っていた方にとっても、活用の幅を感じていただける場面だったと思います。
一つの相談から、PowerPoint・チラシ・メール・LPへ
後半では、音声で相談した一つの企画をもとに、PowerPoint、チラシ、社内メール、LPの試作へと展開しました。
同じ企画でも、社内の関係者に説明する資料と、お客様向けのチラシでは、必要な情報や表現が異なります。
そこで重要になるのが、確認済みの共通情報を一つ持ち、相手と目的に合わせて成果物を変えることです。
一度整理した内容を、資料、メール、Webページなどへ展開できれば、同じ情報を何度も最初から作り直す必要はありません。
この考え方は、営業、広報、企画、採用、社内共有など、さまざまな仕事に応用できます。
便利さと同時に「安全に使うための知識」も
AIに任せられる仕事が増えるほど、安全な使い方も欠かせません。
今回の講座では、AIへ入力する情報を、公開情報、社内情報、機密・個人情報、入力禁止情報などに分けて考える方法も取り上げました。
特に、パスワードや認証コードは通常のAI対話へ入力しないこと、顧客情報や見積、人事情報などは、自社の規程や利用環境、権限を確認したうえで扱うことを確認しました。
AIは、できることが増えれば増えるほど、「できるから任せる」ではなく「任せてよいかを判断する」視点が必要になります。
JAICでは、便利な機能や活用方法だけではなく、安全に仕事へ取り入れるためのAIリテラシーも大切にしています。
最後は「自分の仕事なら何を任せるか」
講座の終盤では、参加者の皆さまに、自分自身の仕事を振り返っていただきました。
仕事を、
・人が担う
・人とAIで考える
・AIが作成し、人が承認する
・条件を決めてAIに任せる
というように工程ごとに分けて考えることで、AIを活用できる部分が見つけやすくなります。
そして最後に考えていただいたのが、**「明日、自分の仕事の中で何を一つ試すか」**です。
大きな業務をいきなりAI化する必要はありません。
まず一つ試す。
結果を人が確認する。
うまくいかなければ修正する。
うまくいけば、次の仕事へ広げる。
この小さな積み重ねが、AIを実際の業務改善へつなげていきます。
セミナー後も交流と個別相談が続きました
本編終了後には、会場参加者同士の交流や名刺交換に加え、AI活用に関する個別相談も行いました。
「自社のこの仕事にも使えるのか」
「どこからAI活用を始めればよいのか」
「社内で使う場合、どんなルールが必要なのか」
それぞれの会社や仕事によって、AI活用の方法は異なります。
だからこそJAICでは、一方的に知識を伝えるだけではなく、参加者の皆さまと一緒に、それぞれの仕事に合った使い方を考えることを大切にしています。
講義が終わった後も相談や会話が続く様子を見て、AIを学ぶことに加え、地域の企業や人がつながり、新しい取り組みのきっかけが生まれることも、このセミナーの大きな価値だと改めて感じました。
AIを「知る」から「使う」、そして「仕事を任せる」へ
第1回では、まずAIを使ってみること。
第2回では、自分の仕事に置き換え、AIに任せられる部分を見つけること。
少しずつ段階を進めながら、JAICのセミナーでは、AIを実際の仕事で使える力につなげていきます。
大切なのは、特別な知識を身につけてから始めることではありません。
自分の仕事を見直し、AIに任せられる部分を一つ見つけ、実際に試してみる。
そこからAI活用は始まります。
JAICはこれからも、AIを「知っている」で終わらせず、地域の企業や働く皆さまが、実際の仕事で使い、成果につなげていくための学びと実践の場をつくってまいります。
第3回JAIC無料AIセミナーは10月29日に開催予定です
JAICでは、次回となる第3回無料AIセミナーを2026年10月29日(木)に開催予定です。
「AIに興味はあるけれど、まだ仕事で十分に使えていない」
「自分の業務のどこにAIを使えるのか知りたい」
「実際の活用例を見ながら学びたい」
そのような方にも、気軽に参加していただける内容を予定しています。
AIは、知識を増やすだけではなかなか仕事に定着しません。
実際に見て、試して、自分の仕事に置き換えて考えること。
JAICの無料AIセミナーを、ぜひそのきっかけとしてご活用ください。